逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

コンサル流 圧倒的に成果を出す人が実践している思考法

 

人生100年時代におけるキャリア形成の不安

人生100年時代」の到来とともに、仕事も65歳定年ではなく、長く働き続ける必要が高まっています。そんな時代において、自分なりのスキルを持って、楽しく働くことの重要性が高まりつつあります。
そうした時代の変化の一方で、「長く働き続けられるだけのキャリアやスキルがなく不安」「今の自分の仕事に将来性がなく、この先が不安」と感じられている人も多いかと思います。
そうした不安を感じられている人に、私自身の経験からこの先のキャリア形成において重要なことをお伝えしたいと思います。

 
これからの時代を生き抜くために覚悟しておくべきこと

働く期間が長くなることに加えて、時代の移り変わりは激しく、10年前の常識は今の常識ではなくなりつつあります。そうした時代において、ビジネスマンは常に自らをアップデートし、鍛える努力をしないと、市場での価値はなくなっていきます。

特に、今まで比較的安定した会社に勤め、試行錯誤する機会が少なかった人は、自らが意識して行動していない限り、世の中で求められているスキルを備えた人材になれていない可能性があります。定期的に自分のスキルを棚卸し、今後、必要なスキルは何かを自問しながら、働き続ける必要があります。特に、専門知識(業界知識、IT、会計、マーケティングなど)は制度やトレンドが変わるため、常に知識をアップデートすることが求められます。


これからの時代に必要なスキル

専門知識が時代の変化とともに変わる一方で、常に普遍的なビジネスマンとしてベースとなるスキルがあります。
「論理的思考力」「抽象化能力」「対人コミュニケーション」「やりきる力」であり、これらはいずれも仕事を進める上で、非常に重要なスキルであり、こうしたスキルは早いうちに習得すればするほど、仕事を成功させる確率が高まり、周囲からの信頼を獲得できることで、あなたのキャリアパスを飛躍的に高まることができます。

もし、あなたが将来のキャリアを不安に思っているなら、専門知識や資格の取得に走るよりも、これらの力をまずは身に着けることをお勧めします。
なぜなら、専門知識はどんなに身に着けたとしても、時代の移り変わりとともに、陳腐化するものであり、常に学び続ける必要のある“フロー型のスキル”であるのに対し、「論理的思考力」「抽象化能力」などは、一度身に着けると生涯に渡って使えるスキルであり、かつ実践での経験を積み重ねることで、さらにスキルが洗練化されていく“ストック型のスキル”であるからです。このスキルを身に着けた人とそうでない人とでは、時間を経るにしたがって大きな差が生まれていくことになります。


私自身の経験

私自身、30歳前半にコンサルティング会社に転職することで、初めて、こうしたスキルの重要性に気付き、そこから日々、鍛える訓練をしました。特に、さきほど上げた能力のうち、重要なスキルは「抽象化能力」であり、この能力を身に着けたことで、他の人が気づいていない物事の本質や真因を捉え、解決策を打ち出すことが容易になりました。

それまでは、専門知識(私の場合はマーケティング)を取得することに関心があり、様々な手法やツールの知識を学ぶことに関心がありました。実際、この時に得た知識は今でも役立っており、プラスになってはいます。

でも、コンサルティング会社で得たこうした普遍的スキルは、専門知識の何倍も重要であり、すべての仕事のベースとなり、かつどのような業界・職種であったとしても高い成果を上げることができるスキルであると言っても過言ではありません。将来のキャリアに悩んでいる方には、ぜひ、付け焼刃のスキルではなく、長い将来に渡って使える、普遍的なスキルである「抽象化能力」を身に着けていただき、どこの職場であっても通用するという自信を持ってもらいたいと思います。

そうした自信をつけることができれば、将来への不安は消えることはもちろん、他の人が気づいていない重要な本質に気付けることが増えるので、仕事をすることが楽しくなり、認められることも増えるので、積極的に仕事をすることができるようになります。

 

これからのキャリアに必要な「真因探索能力」とは何か?

コンサルティング会社に入ると嫌でも、この真因探索能力を身に着けざる負えません。それは、コンサルタントという仕事の立ち位置でバリューを出すための必然とも言えます。業務知識や専門知識ではクライアントの方が上であり、そうした知識に対抗するには、クライアントが気づいていない観点で問題の本質を特定したり、解決先を提示する必要があります。

その際に重要になるのは、日々の仕事での出来事や他社の事例を通して気づいた学びを定式化してまとめることであり、そうすることで、問題の本質にいち早くたどり着くことができたり、クライアントが気づけていない視点を提供することが可能となります。

例えば、ある業務のプロセスを見直す必要があるという場合、通常の人はこれまでの会計処理の業務プロセスを前提に、「Step1.現状の課題の洗い出し」⇒「Step2.改善策の立案」をしようとします。もちろんこのアプローチは決して間違いではありません。現状の問題点を洗い出して、そのための解決策を出すのは、一般的な解決方法ですし、改善点をつぶせているという点では一定の効果を期待することができます。

でも、このアプローチの問題点はもぐらたたき的な対処療法になる可能性があるということです。つまり、「Step1.現状の課題の洗い出し」で、一気に本質的な問題点を洗い出すことができていればよいのですが、多くのケースにおいては、そこまで至ることはできません。なぜなら、人は一般的に自分が経験した個別の事象しか記憶にとどめておらず、その課題が発生した背景や要因まで深く突き詰めて考えることはないからです。


コンサルタントであれば、
「Step1.現状の課題の洗い出し」⇒「Step2.その課題が起こった背景・要因の真因分析」⇒「Step3.真因に対する改善策の立案」というアプローチをとります。
このStep2のフェーズで重要になってくるのが個々の事象から共通する要因を特定する抽象化能力となります。

 

例えば、ある業務において、事務処理のミスが多発しているとします。表層的に考えると、こうした課題を改善するには、ミスをしないように、チェックリストを作り作業者が確認するようにする、上司が二重チェックをすることでミスが発生することを防ぐといったことが対策になるかもしれません。しかし、ここで「Step2.課題が起こった背景・要因」を検討するステップを入れるとどうでしょう。

スタッフがミスを起こした要因は単に、作業者の不注意ではなく、「労働時間が長く、注意力を維持するのが困難」「マルチタスクになっており、作業に集中できない」「記入用紙のレイアウトが分かりづらくミスを起こしやすい」など背景となる要因が他のことにあることは往々にしてあります。もし、労働時間の問題であれば、いくらチェックリストや上司が二重チェックをしても根本的な解決にはなっておらず、むしろ多くの工数をかけるようになった分、効果が薄い分人件費がかかるという結果になることもあります。

 

上記はあくまで一例にすぎませんが、多くの仕事において、単に課題や問題点のみに注目し、対策を立てるという非効率的なやり方が一般的です。ここで、真因を深堀し、それに対する対策を立てるという仕事の仕方を覚えれば、本質を抑えた解決策となるため、圧倒的に効果を出しやすくなります。

ぜひ、この記事を読まれた方は、目の前の課題や問題点にのみ目を奪われるのではなく、その問題が起こっている背景や要因を深堀してみる姿勢を大事にしていただければと思います。そのステップを入れるだけで、他の人に比べて圧倒的に成果を出しやすくなることと思います。