逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

ノルマがきつくて悩んでいる時の対処法

「会社のノルマがきつくてしんどい」
「毎回、自分だけが達成できなくて、上司や同僚から冷たい目で見られる」
「ノルマを達成するために休日出勤することが多く、肉体的にもしんどい」
「訪問や荷電をいくらしても断られ続け、心が折れそうになる」
など、ノルマを達成できない時はとてもしんどいものです。商談化数や受注数など、成果が目に見えやすく、周囲と簡単に比較できるので、何カ月も成績が悪い状態が続くと能力がないのではないか?自分はいくら頑張っても駄目なんじゃないか?という自己否定に入りやすくなります。

また、毎回、目標を達成していないと、上司や同僚から“できないヤツ”扱いをされるのも、非常に辛いです。当然、仕事に対して積極的になれなくなるので、営業するのが億劫になり、益々、成績が悪くなっていくという負のスパイラルに入っていく人も珍しくありません。

そんな営業のノルマを達成できずに苦しんでいる人に向けて、具体的な解決方法をお伝えしたいと思います。

 

 

そもそも、そのノルマは達成可能なものか?を考えてみる

まずは、あなたに課せられているノルマは少し頑張れば達成できるような適切な目標設定になっているでしょうか?また、仮に上手くいかないことが合っても周囲に相談できたり、サポートしてもらえる職場環境でしょうか?

もし、“Yes”であれば、今の部署で頑張ることで、あなたのキャリアにもプラスになることは間違いないです。営業ノルマを達成するために、顧客と向き合うことは、ビジネスの最も基本である「顧客の課題を考え、相手の立場になって、提案する」というスキルを高めることに繋がります。そうした方には、ぜひ、下記の「ノルマを達成するための具体的なアクションプラン」を読んでいただければと思います。

一方で、“No”の方は、到底達成しようがない目標設定に苦しんでいたり、失敗しても誰もサポートしてもらえず、ノルマを達成することは極めて厳しい状態です。今の部署で頑張っても、報われる可能性は非常に低く、結果として、心身ともにすり減らして終わってしまいます。こういう状態にいる人は、「部署を変える(異動願いを出す)」または「転職して別の会社にいく」ということを強くお薦めします。

こう言うと「ここで頑張らずに逃げるのは嫌だ」「この壁を乗り越えた先に、成長がある」と思われる方もいるかも知れません。もちろん、そういう場合は、今の職場でチャレンジすることは止めませんが、賢明な選択とは言えません。
なぜなら、真っ当な会社なら、個々人のレベルに合わせて適切なノルマを設定したり、サポートすることは当たり前であり、そうでない時点で、その会社にいるより、別の会社に移った方が、営業マンとしてのスキルは高められる可能性が高いです。

また、どんなに頑張っても商品が悪ければ売れないものは売れません。そこで無理やり頑張ることは、あなたの成功体験を奪うことに繋がります。人は、成功体験があると、モチベーションが高まり、努力したり、創意工夫して、更にスキルを伸ばせられる生き物です。
今、行き詰まっている人は、ぜひとも、職場を変えるということも選択肢に入れてみて下さい。

 

ノルマを達成するためのアクションプラン

1.営業プロセスを可視化し、どこに問題があるのかを抑える

まず、最初にやって頂きたいのは、あなたの営業プロセスのどこに問題があるのか?をきちんと押さえておくことです。大抵の人は、どこに問題があるのかをきちんと分析せず、営業成績が伸びないので、「とりあえず、訪問数やテレアポ数を増やそう」としたりします。

でも、新規の見込み顧客へのアプローチ数の少なさに問題があれば、その対応でも問題ないですが、本当の問題は、最後のクロージングのところかもしれません。的外れな対策を立てないためにも、以下の考え方で、どこに問題があるのかを知るところから始めて下さい。

営業のプロセスはい大まかに分けると以下の手順をたどります。
「新規見込み客へのアプローチ」⇒「商談のアポイント」⇒「商談での課題把握・自社製品の提案」⇒「交渉成立」

営業ノルマを達成できないということは、最終的な「交渉成立」にまで至る数が少ないということですが、この要因として、途中のどのプロセスに問題があるのか?を他の同僚と比べてみて下さい。

例えば、「新規顧客へのアプローチ」が少ないのであれば、訪問数やテレアポ数を増やす必要があります。
「商談のアポイント」に至る数が少ないのであれば、最初のアプローチの際に、「顧客を信用させ、興味を持ってもらうセールストークに問題がある」という可能性があります。また、「商談から交渉成立」までの数が少ないのであれば、クライアントの課題、予算感を把握して適切な商品を提案できないという可能性があります。

このように、どのプロセスに問題があるのか?をきちんと押さえ、適切なアプローチを取ることがとても大切です。

2.「どの顧客に(Who)」「どのようなことを(What)」「どのようなタイミング(When)」で営業するのか?を考える

営業プロセスのどこに問題があるのか?を特定できたら、今度は、どう解決すれば良いのか?を考えます。
解決策を考えるために、大切なのは、「どの顧客に(Who)」「どのようなことを(What)」「どのように(How)」営業するのか考えるということです。



「どの顧客(Who)」にアプローチするか?

多くの営業マンは、「どのようなことを(What)」「どのように(How)」営業するのかということに注目がいきがちですが、私の経験上、実際には、「どの顧客に(who)」アプローチするのかがとても重要です。

見込み顧客は多くは、一般的には「今すぐ商品を購入したい人」1割、「今すぐではないが、いずれ時期が来たら購入したい」が6割、「単なる興味本位、競合製品のリサーチ」が3割と言われています。いくらあなたがセールストークが上手でも、「単なる興味本位」の人に時間を割いても成果が得られることはあり得ません。

それよりも、「今すぐ商品を購入したい人」にまずはアプローチすることで簡単に商談や購入にまで至る可能性があります。成果を挙げられている人は、この熱量の高く、商品への必要度が高い人を見抜くのが上手です。

例えば、もし、あなたの顧客リストがHP経由からの資料請求の見込み顧客だとしたら、HPの滞在時間、どのコンテンツを見ているか?などから、すぐに商談までいく人かどうかを見分けることができる可能性があります。この辺りは、当然、商品によって変わってくるので、この情報を見たら良いと言えませんが、おすすめは、成果を挙げている人が、どういう優先順位でアプローチしているかをよく観察してみて下さい。

 

また、多くの営業マンは軽視しがちですが、「今すぐではないが、いずれ時期が来たら購入したい」と考えている人が、具体的にいつ頃、どのタイミングで購入したいと思っているのか?を抑えておくことは大切です。

当然ながら、今すぐ成果には結びつきませんが、適切なタイミングで、再度アプローチすることで、商談や購入にまで結び付けられる可能性があります。先ほども述べましたが、一般的に「今すぐ購入したい」という熱量のある見込み顧客は少なく、同僚と差をつけるためには、「今すぐではないが、そのうち購入したい」という人をあきらめずに、フォローできるかがカギだからです。見込み客へのアプローチを1回だけで終わらせるのではなく、長期的な時間軸で、再度フォローするということは、本当に成果を挙げている営業マンがやっていることだと思います。

 

「顧客に何を訴求するのか(What)」か?

見込み顧客が抱える課題をきちんと理解する

これは、営業マンなら、誰しもが理解していることだと思いますが、「顧客が何を課題に感じ、どのような不満や不安を抱えているのか?」を理解することが大切です。単に、自社の商品をアピールしても、顧客にとっては、自分の抱えている不満や不安をどう解決してくれるのかが伝わらないと、当然ながら、商談や購入に至ることはありません。
そのためにも、いきなり、自社の商品を売り込むのではなくて、顧客が抱えている課題に耳を傾けることが大事です。その際、顧客の課題を理解するのに役立ちそうな情報があれば、最大限、活用することをお薦めします。

例えば、HP経由で資料請求したお客様に電話するのであれば、閲覧しているページや資料請求時に回答したアンケート内容を参考に、何に興味を持っていそうかを類推し、自社の商品でその課題を解決した事例を用意して、興味関心を喚起するといったことができます。

BtoBの営業であれば、会社情報や営業する部署の役割などを調べて、どういう課題がありそうか?を抑えておき、他社で導入して成功した事例などを用意しておくことは非常に有効です。



課題に合う自社商品の紹介と他社との違いを明確に伝える

顧客の課題を把握できたら、「その課題を自社商品ならどう解決できるか?」「競合商品との違いは何か?」「費用感」を伝えて下さい。

結局のところ、お客様が気になっているのは、「その商品にお金を払うこと(=費用感)で、自分の今の課題は解決されるのか?(=課題解決)。
そして、他の商品ではなくて、あなたの商品を選んだ方がいいのはなぜか?(=競合商品との違い)」であり、このことが腹落ちしないと、購入されることはないです。特に、高単価の商品ほど、上記が納得されないと、選ばれることはまずないと言ってもいいでしょう。

商談の際に、自社商品を説明する時には、上記の点を抑えて、提案資料を作ったり、セールスすることをお薦めします。よくあるのは、どの顧客に対しても、テンプレート化された同じ提案資料をもっていくということです。
テンプレを使うこと自体は全く否定しませんし、むしろ、毎回、資料作っていたら非効率ではありますが、問題は全く顧客の課題や悩みにより沿わずに、ただ、あなたが売りたいものの話だけしても、誰も興味を示さないということです。

必ず、「顧客の課題」を起点に商品を説明するということを徹底して下さい。そうすることで、信頼や信用が生まれ、たとえ、すぐに商談が成立しなくても、いずれ、成果に結びつくことになります。


 

「どのタイミング(When)」でアプローチするか?

営業する上で「どのタイミングでアプローチするか?」も大切な要素です。
これは、アプローチする時間帯もありますし、資料請求してから何日後にアプローチするかなどもあります。また、BtoBであれば、繁忙期かそうでないかなども重要です。

基本的に、新規の営業に聞く耳を持てるのは、余裕がある時なので、できるだけ、きちんと時間を取って聞いてもらえるタイミングであること、資料請求した顧客にアプローチするのであれば、資料を読んでもらえたタイミングにアプローチするなど、顧客の状況を想像して、不快に思われないタイミングでアプローチすることを心掛けて頂きたいと思います。

 

色々頑張ってみたけど、上手くいかない人の対処法

部署を異動する

営業ノルマを達成するための具体的な改善策をお伝えしてきましたが、それでも、上手くいかない(上手く行きそうにない)人は、「部署を異動する」という選択肢もありえます。というのも、営業の仕事は、ルート営業でない限り、アプローチして成約に至るのはどんなに優秀な営業マンでも3割と言われています。(これは、商品によっても当然違いますが。。。)

そもそも営業とは大半は最後の成約までたどり着かないという仕事であり、粘り強さや失敗してもひきづらずに次に進んでいけることが必要です。また、場合によっては、クレームにも対応したり、社内の内勤部門と調整する必要があることもあり、かなり精神的なタフさを必要とされる仕事です。

もし、あなたが営業という仕事が自分には向いていないと感じるのであれば、部署を異動して職種を変えることも現実的な選択肢です。
「自分には向いてなくても頑張りたい」という人もいるかも知れませんが、現実的に、人それぞれ得意分野があり、向いている仕事とそうでない仕事はあります。

また、仮に、内勤部署に異動しても、そこで初めて気づけることもあります。「今度、営業に戻れば、こういう条件で受注すれば、スムーズに仕事を進められる」という気づきを得られることもありますので、必ずしも、部署異動はあなたのキャリアにとって、マイナスになるとは限りません。

企業をきちんと精査して転職する

会社が営業が主体で他に主要な部署がない場合や、そもそも売っている商品に魅力がないので、営業が上手くいかないというケースもあります。自分でも自社商品の良さが分からないのに、営業するほど辛いことはありません。会社によっては、商品に魅力がないことを承知で、営業マンに商品を売らせているような会社もあります。

また、そもそも、設定されたノルマが達成不可能な目標を押し付けている、あるいは、ノルマを達成できなかった場合、全く上司や先輩のサポートがなく、一方的に責められるという会社もあります。そうした会社にいても、心身がすり減るばかりですし、前向きに仕事に取り組むことができません。
そういう場合は、別の会社に転職することを強くお薦めします。

でも、次に転職する際には、再び、残念な会社に入社することがないよう、しっかりと、企業を見極める必要があります。
応募する企業を選ぶ際には、必ず以下の点をチェックして、入社しても問題ないのか確認して下さい。

 

  • 離職率が高くないか?
  • 平均勤続年数が短くないか?
  • 人事の評価制度はどのように決まるのか?(特に、上司が一方的に評価するのではなく、ゴール設定、評価の目線合わせがきちんとなされているか?)
  • 入社する部署の課題、問題点は何か?(上司や部の体制に問題があり、離反者が多数出ている、営業するための十分なノウハウが蓄積されず、個々人の個人プレーになっていないか?)
  • 部署内での情報共有や人材育成はどうように行われているのか?(たとえ成果が挙げられなくても、サポートする組織であるのか?)
  • 同業他社の評判はどうか?(パワハラまがいの会社やブラック企業は同業では必ず噂になるので、そうした評判がないか?)

 

といっても、あなた上記項目は求人票を見ても載っていない情報も多く、企業の外部にいるあなた1人では、得られる情報には限界があります。
そうした時には、転職エージェントの担当者から情報をもらうようにして下さい。転職エージェントとはご存じの方も多いと思いますが、応募先の企業に関する詳細な情報を教えてくれたり、履歴書添削、面接対策、入社に当たっての雇用条件の交渉をしてくれる会社です。転職エージェント経由で転職活動をすることは以下のようなメリットがあります。

  • エージェントは求人を出している企業側からお金をもらっているので、応募者は無料で、上記サービスを受けられる。
  • エージェントは応募企業先の採用担当者と会い、会社の実情について、あなたよりも情報を得ているので、あなたが知りえない情報を教えてもらうことができる。
  • 昨今、ブラック企業に対する労基署の監視は厳しく、転職エージェントにとっても、ブラックな企業の求人を扱うことは、評判を落とすことに繋がるので、エージェントを経由して求人案件を紹介してもらうことで、パワハラ体質な会社や無茶苦茶なノルマを押し付けてくる企業をある程度排除することができる。

ぜひ、上手く転職エージェントを活用して、慎重に会社を選び、あなたが満足いくキャリアを歩んでいただきたいと思います。