逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

事業会社からコンサルへの転職で不安に感じている人へ

コンサルティング会社に興味はあるものの、働き方、求められている仕事のレベルについていけるか不安に感じている人はいるかと思います。

激務と言われる環境の中で心身を壊さずに働けるのか?
仕事ができるエリートが集まる中でやっていけるのか?
など様々な不安があるかと思います。

私もコンサルに転職する時は、不安だらけでした。それなりに、社会人経験もあり、評価をされていたものの、コンサルティング会社といういわゆる“できる人“の集まりの中で自分がやっていけるのかと不安に感じたことを覚えています。

また、当時はちょうど、子供が産まれたタイミングでもあり、周囲からも安定した職場を離れ、転職することに反対されました。不思議なことに、転職を考える20代後半から30代前半はライフステージの変化を経験することも多く、結婚や子供の誕生などが重なって、転職自体をあきらめる人も多いと思います。

それでも、私はよりレベルの高い所で自分を試したい、コンサルで得られるロジカルな思考力が自分の今後のキャリアに必要だと思い、チャレンジしました。
この記事を読んでくださっている方の中にも、コンサルには興味はあるが、自分で通用するだろうか?という不安を感じている方もいらっしゃるかと思います。実際の私の体験を踏まえて、コンサルに転職して良かったこと、悪かったことを書きたいと思います。

 

 

コンサルで働くことで事業会社では得られない気づきがある

コンサルに転職して良かったのか?と問われると、私はYesです。
確かに、大変なことも多かったですし、成果を出せずに苦しんだ時期もありました。ただ、そのまま事業会社にいたのでは、絶対に気付かなかった仕事をする上で大切なこと、ビジネスマンとして成長する上で重要なことに気付くことができました。

“自分のスキルを高めたい”
“苦労することもあるかもしれないが、チャレンジしたい”
“将来の自分のキャリアを広げたい”“人の数倍の速さで成長したい”
と思っている人は、ぜひチャンレンジして頂きたいです。
コンサルで働くことは事業会社で働いていたら決して気づけない仕事の流儀に気付くことができます。たとえ、コンサルを辞めて別のキャリアを進むことになったとしても、その経験はきっと生きるはずです。

 

コンサルで得られる最も貴重なことは「視座の高さ」「当事者意識」

では、コンサルで働くことで得られる能力とは何でしょうか?いくつかありますが、その中でも最も重要なものを挙げるとすると、「視座の高さ」「当事者意識」が高まることです。

論理的思考や資料作りのスキルではないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。一般的に、コンサルというとロジカルシンキングが身につくイメージがあるかもしれません。それは、もちろん仕事をする上で大切ですし、コンサルの能力としても必要なものです。

でも、それよりももっと大切で、仕事をする上でのすべての土台となる力が「視座の高さ」と「当事者意識」です。入社時にロジカル面が弱い人でもそれさえ備わっていれば、自然と他の能力はカバーされていく人を私は何度も目にしました。

逆に、この2つが備わっていないと、どれだけ、ロジカルシンキングができてもバリューのある仕事をすることはできません。コンサルで働くということは、自然とこの2つの能力と向き合わざる負えない場面が増え、より立場が上になる(マネージャーなど)になるほど、当然のように備わっていないといけない資質になります。

 

では、なぜ、この2つの能力が大切で、コンサルになるとその能力が身につくのでしょうか?

 

「視座の高さ」「当事者意識」が大切な理由

コンサルの仕事のバリューは、クライアントが気づいていない視点で物事を考え、整理し、適切な選択肢を提示することです。その時に大事になるのは、局所的な視点で物事を捉えるのではなく、全体感を持ち、プロジェクトの意義や目的から遡って1つ1つの選択肢を精査する力が欠かせないものになります。

その際、大切になるのは「視座の高さ」です。視座が高いとはプロジェクトや目の前のタスクがどのような目的を達成するためのものなのか?企業活動にとってどんな意味があるのか?をしっかりと理解した上で、仕事ができている状態を指します。人は驚くほど、目の前のタスクをこなすことに目が行きがちであり、そもそもの目的や意義をきちんと理解して仕事をしていることは少ないです。

そこにコンサルタントが入って仕事をする意味があるのであり、クライアントと同じ目線で考えていてもバリューは出せません。クライアントの経営層の視点にたって、会社にとっての意義から目の前の仕事を捉え直す必要があるのです。また、コンサルタントが最終的に報告するには、クライアントの経営層レベルであることがほとんどです。経営層やマネジメントレベルと対等に話すには同じ視座に立つ必要があることは言うまでもないことです。

でも、これは、いうのは簡単ですが、実際にやろうと思っても実行できる人は少ないです。特に、コンサルたんとに成りたての人で自然とできている人はごくわずかです。視座を高めるには、普段から意識的に関連する情報を収集し、プロジェクトの意義を塾考し、目の前の仕事がその意義にどう結びついているのか?を考える習慣がないと、まず、考えることができません。

コンサルティング会社で働くということは、マネージャーなどの上位者からのレビューを繰り返し受けることになるので、そうした場で、自分の視座が足りていないことを痛感させられることになります。そうした経験を経て、意識的に自分の視座を高めようと努力することでしか、視座は高まっていきません。その意味で、コンサルティング会社で働くことは、そうした自分の中の視座を高めてくれる効果があるのです。

 

当事者意識が大切な理由

2つ目に重要な点として「当事者意識」を持つことがあります。ややもすると、コンサルタントは、委託された業務の範囲内で仕事をこなすことになりがちです。また、スタッフレべルの役職の場合、役職者が責任を取ってくれると思いがちです。でも、それでは、永遠に成長することはできません。

自分が責任を持って、この仕事を完遂するという姿勢がなければ、誰も相談したい・仕事を任せたいとは思わないですし、なによりも必死に考えることがないので、成長できません。「必ずこの仕事は自分が責任を持ってやりきる」「この仕事の成果を上げるのは自分しかいない」という気持ちで取り組めば、緊張感が生まれ、自然と深く、抜け漏れなく考えることができます。

そして、何より、自分が仕事のイニシアチブを持てる領域が増えるため、仕事が楽しむことができます。一方で、責任や重圧との隣りあわせになりますが、コンサルという仕事を選んだ以上、それは避けられないことです。責任や重圧を感じる代わりに、自分自身の考え、行動が洗練されていくことは間違いないですし、逆に、そのような過程を踏まずして成長することはありえません。



やっぱり、コンサルはハードルが高そう思った人へ

ここまでお読みいただいた方の中には、「やっぱり、コンサルティング会社で働くのは相当大変そうだ」「自分には無理だ」と思われた方もいらっしゃるかと思います。「コンサルタントとしてやっていけるのは一部の優秀な人だけだ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、決してそんなことはありません。私がお伝えしたかったのは、「決して選ばれた一部の優秀な人だけがコンサルタントとして成長できる」ということではなく、「コンサルタントとしてやっていくには、ロジカルシンキングが重要なのではなく、仕事に対する向き合い方が重要だ」ということです。

そして、仕事に対する向き合い方は誰でも心がけ次第で変えることができることであり、「心がけが変われば、成長ができる」ということです。そして、コンサルティングファームという場所は、そのような心がけが変わる場所として、最適な場所であると言えます。

一旦、「視座の高さ」「当事者意識」の重要性に気付いた人は、劇的に成長します。当然ですよね、仕事に対する責任感が生まれ、必死に考え、行動することが増えれば成長するのは当たり前の帰結と言えます。そして、メリットはそれだけではありません。成長は自分ひとりでも世の中を渡っていけるという自信が生まれ、世間で言われている成功の道やこうあるべきという道にとらわれなくなります。人生における重要な選択を自分自身の価値尺度で選択をすることができるようになります。

 


もし、今、事業会社からコンサルティングファームに転職することに迷っている人がいたら、ぜひ、一歩を踏み出して欲しいと思います。当然ながら、コンサルティング会社で働くことは楽な選択ではありません。始めは自分ができないことが多く、落ち込むこともあるかもしれません。でも、普通に働いていては気づけないことに気付くことができます。

そして、「視座の高さ」「当事者意識」の重要性を体感した人は、成長できることはもちろん、自分自身で自分の人生を切り開くことに対する自信が持て、納得のいく人生を送ることができると思います。

転職というのは大きな人生の転換点でもあり、簡単に決断できることではないです。特に、今いる会社が安定している、ネームバリューがある人ほど、決断することは大変だと思います。私自身も「上手くいかなかったらどうしよう」、という不安に駆られることも多かったです。でも、コンサルティング会社で働くことは、そんな不安を押しのけて、チャレンジする価値があることだと私は思います。必ず、あなたを成長させ、そして、自分の人生を自分らしく生きることができる場所になると思います。

少しでも気になった方は、転職エージェントに話を聞いてみてもいいかもしれません。大抵、エージェントにはコンサルティング会社への転職を主に担当している人がいるので、そうした方に聞けば、コンサルティング会社の各社の特徴やあなたの経歴から見て合っているコンサルティング会社を紹介してくれるかと思います。また、コンサルティング会社によって、強みのある業界や専門領域、今後注力していきたい重点分野、コンサルタントの育成方針などがあるので、エージェントからそうした情報を知ることは有益だと思います。