逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

コンサルを卒業した後のキャリア

このサイトをご覧になっている方の中には、コンサルティング会社で働いた後にどのようなキャリアがあるのか知りたいと思っている方もいらっしゃるかと思います。
著名な経営者やメディアで活躍する方には、コンサルティング会社出身の方も多く、皆さんの中にも、ポストコンサル後のキャリアとして、経営者や経営幹部への道を思い描かれていらっしゃる方もいるかもしれません。

この記事では、実際に私がコンサルティング会社で働いている経験を基に、コンサル後のキャリアとしてどのような選択を取ることが多いのかを説明します。特に、漠然とコンサルティング会社に行けば、素晴らしいキャリアが開けると思っている方にはぜひ、読んでいただきたいと思います。

 

 

 

ポストコンサル=バラ色のキャリアではない

コンサルティング会社に入ったからといって、将来のキャリアが約束されているかというと当然ながら、そんなことはありません。コンサルティング会社といっても、戦略系、総合系、ITコンサルなど、様々ですが、比較的入社難易度の高い、戦略系や総合ファームに入ったとしても、決して将来が約束されている訳ではありません。

その理由としては、どのファームもコンサルタントの採用を増やしており、世の中にコンサルタントという職業の人は無数に存在しており、無条件でポストコンサル後のキャリアが約束される訳ではないこと、コンサルタントはハードワークであるだけに、入社して1~2年で辞める人も多く、そうした人をコンサルタントのキャリアを積んだ人材とはみなさないことなどがあります。

つまり、コンサルティング会社に入ってから、きちんと実績を挙げ、評価されるスキルを身に着けた人でないと、当然のことながら、ポストコンサル後のキャリアが開けることはないことは強調しておきたいと思います。

 

ポストコンサル後のキャリアの実態 ~代表的な4つのキャリア~

では、実際、ポストコンサル後のキャリアの実態はどうなっているのでしょうか。
代表的な4つのキャリアについて説明したいと思います。

①:コンサル to コンサル

-最も多いケースは「コンサルティング会社から別のコンサルティング会社」に行くケースです。これにはいろいろなケースがあります。例えば、ITコンサルに勤めていた人が総合系ファームに行く、あるいは総合ファームから戦略系コンサルに行く場合などがあります。コンサルティング会社の中でも、よりフィーが高く、格が高いと言われるコンサルティング会社にステップアップを目指す人の転職先として多いです。

また、パートナーが別のファームに移籍する際、配下の人材を連れていく場合もよくあります。コンサルティング会社は意外と人と人との繋がりを重視しており、(結局は、コンサルティング会社はコンサルタントという個人がバリューを出せるかどうかで仕事を取れるかが決まってくるので、信頼できる人同士が長年、一緒に仕事をする場合は多いです)長年一緒に働いており、繋がりが強いケースが多く、上司の転籍に伴って部下もついていくことは多いです。

役職にもよりますが、一般的には40代を過ぎて事業会社側への転職するには、相当のポジション(課長、部長以上)での転職となり、そうしたポジションの空きは少ないため、年配の人ほど、コンサルからコンサルへの転職が多くなる印象です。もし、あなたがコンサルタントはキャリアの通過点であり、ポストコンサルとしてコンサル以外の道を志向している場合は、年齢的なタイムリミットがあることは念頭において動かれることをお勧めします。

 

②:PEファンド

次に多いのは「PEファンド」です。PEファンドとは、プライベート・エクイティ・ファンドのことで、機関投資家から集めた資金を用いて、主として非上場会社に投資を行い、資金提供と経営支援を通じて企業価値を高めた後に売却し、高い収益を獲得することを目指す会社のことです。

コンサルからPEファンドに行く人のモチベーションは、正直に言えば、投資先の事業が成功すればキャリーとして、莫大な収入を得られる可能性があることだと思います。コンサルタントも一般的な職業と比べると年収は高い方ですが、労働時間が長く、時間当たりでみたらさほど高くないことが多いため、多くのコンサルタントは正直に言えば、“自分のスキルならもっと楽に稼ぐことができる”と思っている人は多いです(全員とは限りませんが、労働時間に比べて給料は割にあっていないと思っている人は多いです。たまに、アベッて働かずして給料をもらっている人もいますが、、、)

そのため、同じハードワークならリターンの大きいPEファンドに勤めたいと思う人がいるのは当然かと思います。私はPEファンドに転職する人の動機の7~8割はキャリーがあることだと思っていますが、一応、仕事のやりがいについても補足すると、株主という立場で投資先の企業の経営支援に参画できるという点ではやりがいもある仕事と言えます。

ただ、PEファンドはそもそも採用枠が少なく、採用基準も高いこと、M&AFASなど財務に明るいことは求められるので、コンサルの次のキャリアとして狭き門であることは認識して頂いた方が良いと思います。

ITコンサルやPMOをやっていた人がPEファンドに採用されることはまずないと言ってもいいかと思いますので、もし、PEファンドを考えていらっしゃる方は、コンサルティング会社の中でも、そうした部門で経験を積むよう戦略的に動かれることをお勧めします。

 

③:事業会社

ポストコンサル後に、経営幹部や経営企画、新規事業開発などの部署を目指している方も多いかと思います。特に、最近は国内需要が縮小する中、海外進出や、M&Aなどに対応できる人材や、2025年の壁と言われているように、既存のITシステムや業務プロセスの刷新をリードできる人材として、ポストコンサルの需要が高まっているかと思います。

また、もう1つ大きなテーマとしては、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するため、デジタルの知見のあるコンサルタントを採用するケースも見られます。社内人材では対応できない専門知識や最先端の知見、プロジェクトを主導できるマネジメントスキルなどを持っているコンサルタントほど有利になりますので、人材ニーズのある領域を見極めて、実績を積むことが重要かと思います。

この転職では、往々にして、年収が下がることが多いです。コンサルティング会社は労働集約型のビジネスモデルのため、高い給与を支払うことが可能であり、供与で優秀な人材を採用していますが、当然ながら、多くの事業会社はコンサルティング会社ほど給与を支払うことはできません。(もちろん、超大手企業などで同水準の給与というケースもあるかと思いますが、そうしたところは競争も激しくなります)

そのため、どの程度の給与なら妥協できるかを事前に考えて、転職活動をされることをお勧めします。また、比較的、若い人を好む傾向があり、40代以上になるとそれなりのポジションで入社することになるため、求められる水準も高く、また、ポジションも少ないことは認識しておいていただいた方が良いと思います。

 

④:起業

メディアなどではマッキンゼーやBCG出身の起業家などが登場することはありますが、正直言うと、そこまで多いケースではありません。そもそも起業する人よりもサラリーマンとして働く人が多いので、当然と言えば当然のことですが・・・

コンサルタントというと、企業の経営方針へのアドバイスをしていると思われがちですが、多くのコンサルタントは経営方針に直接関与している人は少ないです。総合ファームでもピュアな戦略案件というのは少ないので、コンサルタント=経営者としての視点を学べると考えるのは少し違います。なので、ポストコンサルなら経営者として活躍できると考えるのは間違いです。経営者を目指すのであれば、コンサルを経由せずとも、最初から自分で起業する道を選んだ方が正解です。

ただ、多くはないですが、コンサルティング会社ではリーダシップ(自ら主体的に考え、アクションする力)が求められるので、リーダーシップを取る面白さを知って、サラリーマンではなく、起業という道を選ぶ人もいます。また、起業に限らず、どこかに依存しなくても、自らの力でキャリアを切り開こうとする力や意思を与えてくれる場所として、コンサルティング会社で働く意義は大きいです(私自身、コンサルティング会社で働くことで、大きく仕事観が変わったので、このあたりは別の記事で書きたいと思います)

 

 

最後に

以上、主なポストコンサルのキャリアを紹介してきました。
いずれも、コンサルタントなら安泰のキャリアが約束されているという訳では当然ありませんが、コンサルティング会社でスキルを磨き、実績を挙げた人であれば、思い描くポジションへの転職において大きなアドバンテージになると言えます。大事なことは、どういうキャリアを築きたいかという観点から、コンサルタントとして積むべき実績を考えることです。

全く、関係のないプロジェクトを経験していても、当然転職においてプラスにはなりませんので、戦略的にプロジェクトや部署を選んでポストコンサル後のキャリアを掴んでいくことが大切かと思います。