逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

コンサルでのハードワークを乗り越える方法

コンサルティング会社への転職を考えてる方が最も不安に感じることの1つは、コンサル=激務で仕事についていけるか不安という点ではないでしょうか。
特に、現在、大手のホワイトな労働形態の会社に勤めていて、ハードな働き方をしていない人は不安に感じられることでしょう。

また、30代を超えて徐々に体力的に無理がきかない年代に入られている方はコンサルに転職される方は、ハードな働き方についていけるか悩まれるのではないでしょうか。

そんな方に、コンサルティング会社に長年勤務している私の経験を踏まえて、コンサルティング会社での働き方がどのぐらいハードなのか?を具体的に説明するとともに、そんな環境でも乗り越えていくために意識すべきポイントを書きます。

コンサルに転職するか悩んでいる方は、ぜひ、その判断材料としていただくとともに、すでに、コンサルに転職する人を決意している方にも、転職後で直面するハードワークを乗り越える参考として頂きたいです。

 

 

コンサルでのハードさはプロジェクトに影響される 

コンサルは皆、非常に忙しいイメージがありますが、一言で言うと、プロジェクトやプロジェクトをリードするマネージャーによって忙しさは変わります。
プロジェクトで言えば、比較的、定型業務が決まっていて、プロジェクトの期間も長いPMO(プロジェクトマネジメント)では、そこまで忙しくない印象です。
大体、9~10時に出社して、20時ぐらいには退社する人が多いです。
もちろん、時期によって波はあり、経営報告や大きなイベントを控えている時は、それよりも遅くなることはありますが、夜中まで仕事をすることはまれです。

一方、プロジェクト期間が決まっていて(3ヵ月など)、短期間に現状分析~戦略提案まで行う必要があるプロジェクトでは、一般的に、9~10時から22~23時ぐらいまで仕事をしているかと思います。例えば、3ヵ月間の業務改善系のプロジェクトの場合、以下のように現状の業務量を把握して、改善点を導くまでを数週間で終える必要があります。当然、各期間で、上司やクライアントからのレビューが入るので、やり直しになることもあります。

  • クライアントが持っている業務マニュアル(1000ページぐらい)を全て読みこみ、該当業務プロセスをプロセス図に起こす(1.5週間)
  • 社内インタビューし、各業務にどのぐらいの時間を要しているのかをデータ化(3週間)
  • インタビュー結果を分析し、業務改善の方向性をまとめる(3週間)
  • 現状の改善点を解決するために必要なシステムとそのコスト(概算)をまとめた上で、導入後のベースとなる業務プロセスを描く(3週間)

もちろん、1人でこの作業の全てを担当する訳ではありませんが、1部署の業務改善であれば2~3人でプロジェクトを回すことになるので、かなりの仕事量であることは間違いないです。また、自分が業務知識のある分野であれば、割とスムーズにプロセス図を書くこともできますが、門外漢の業務の場合、参考文献を調べたり、他のコンサルタントに必要な知識をヒアリングして作業することになるので、余計に時間がかかることも想定しておく必要があります。

実際、私自身、コンサルタントになりたての頃、IFRSの導入プロジェクトにアサインされ、会計の業務プロセスが全く分からなかったため、業務時間とは別に、関連する本は数十冊を読み、会計業務に詳しい同僚に話を聞いて、必要な知識を収集することでキャッチアップしていました。
また、ステークホルダーが集まる大きな会議の前や最終報告前になると、報告資料の作成のため、夜中まで仕事をすることは普通です。

コンサルでやっていけるか不安な人への実践的アドバイス

ここまでお読みいただいて、コンサルティング会社での忙しさに対する受け止め方は人それぞれだと思います。“それぐらいだったら、今の勤務時間と変わらないからやっていける”、あるいは“今よりは忙しくなりそうだけど、キャッチアップできる”とポジティブに受け止めている方もいれば、“ついていけなさそうだから、コンサルで働くのは無理そうだ”とネガティブに受け止めている方もいらっしゃるかもしれません。

もし、“自分には無理そうだ“”ついていけるか不安だ“と思った方は、最初のプロジェクトは比較的、時間的余裕があるPMOからスタートするのは良いかもしれません。PMOというと一部の方は、”つまらない“”事務局作業で、戦略的な仕事に携われない“と思われる方もいると思います。

確かに、PMOをずっと続けて、戦略系の仕事ができることはありませんが、コンサルの仕事の進め方を学ぶ最初の一歩としては、非常に良い経験になると私は思います。会議の設定の仕方、議事録作成、資料作成など、PMOはある意味、コンサルのベースとなる仕事を学べる機会がたくさんあります。詳細は別の記事で改めて書く予定ですが、会議の設定、議事録作成などベーシックな仕事ほど、正しいやり方を身に着けると、その後の仕事をスムーズに回すことができるようになります。

また、どのコンサルティング会社でも、入社すると、メンター(相談役)として先輩社員が付くことが多いです。名ばかりメンターで相談に乗ってくれない人もいますが(笑)、多くのコンサルタントは、聞かれたことや相談されたことに対してはきちんとアドバイスを返すので、あなたのスキルや経験を正直に話した上で、どのプロジェクトが適切か相談に乗ってもらうのもよいかと思います。

もちろん、アサインは、人員が空いているかや、必要な経験・スキルとマッチするかもありますので、あなたの希望だけで決まる訳ではないですが、コンサルティング会社は自分の希望がある場合は、遠慮することなく伝えて良いカルチャーなので、メンターを通じて、希望を伝えることはありだと思います。

 

コンサルでのハードワークの原因は働く時間ではなく、メンタルタフネスが要求されること

ここまで「ハードワーク=労働時間、忙しさ」として書いてきましたが、コンサルがハードワークと言われる所以は時間ではなく、メンタルタフネス(=折れない心)が要求されることだと思います。私が見てきた中でも、“前職よりも働く時間が長くなったので、ついていけなくなり、コンサルを辞めた”という人はほとんど聞いたことがありません。

そもそも、入社する前に労働時間が長くなることは覚悟して入ってきている人が多いことはあると思いますが、労働時間の長さが原因でついていけなくなる人はほとんどいないです。もちろん、「子供が産まれた」「家族が病気になり介護が必要になった」などの家族が原因で辞める人はいますが、本人の意思で離脱する人はあまりいないです。

それよりも多いのは、“上司からのレビューで自分の作った資料に大量の修正を入れられる”“夜中までかかって頑張って作った資料を、朝に上司がレビューし駄目だしをされた”など、コンサル特有のレビューに心が折れる人が多いです。事業会社であれば、自分が労力をかけて作った資料であれば、資料の質がイマイチであっても、“努力した”という過程を評価してくれる場合が多いと思いますが、コンサルはどれだけ時間をかけて作ったかは全く問題ではなく、クライアントやプロジェクトの課題や問いに答えている資料を作れているかが重要です。

とはいえ、どうしても自分の努力の過程を認めて欲しいというのが人間の本性ですが、そういう甘い期待を完全に否定される経験はやはり辛いものがあります。しかも、それが日々、忙しく、体力や気力が低下する中で、何度も駄目だしをされるとメンタルが持たなくなるケースが多いです。

これに対する対処法はなかなか難しいのですが、一人で乗り切ろうとしないことが大事だと思います。コンサルティング会社は人が資産であるので、一定、離職することは想定しているものの、なるべく離職を抑えようとしていますので、メンターに相談する、あるいは、社内のホットラインに相談するなどで一人で抱え込まないようにするしかないかと思います。

また、マネージャーの中には、一部ですが、部下を精神的に追いやりがちな人がいるのも事実です。そういう人がやっかいなのは、本人は決して悪気が合って厳しい言葉を投げかけている訳ではないということです。多くの場合、“質が低い仕事が許せない“という仕事に対するスタンスがストイックで、求めるレベルが高い人が多く、たとえ経験が浅いコンサルタントであっても、一定の基準に達していない資料を出されると、指摘せずにはいられなくなってしまいます。

こういうタイプのマネージャーは、仕事はできるので、クライアントから信頼され、発言権が強いため、部下としても反論しづらく、精神的に追い詰められるケースが多いです。もちろん、レビューにめげず、ついていくことができれば、非常に成長することができますが、コンサルタントとしての一定の経験を踏んでいない状態で出会ってしまうと、メンタルをやられてしまうことはよくあります。

こうしたタイプのマネージャーの下についた時は、素直にメンターなどに相談するのが良いかと思います。コンサルティング会社は、事業会社と違って、フラットな組織なので、上司の顔色を見て、相談するのを控えるなど、配慮する必要はありません。

また、コンサルティング会社はどこも人出不足であり、メンタルを病んで辞める人が増えることは、採用活動におけるコンサルティング会社のリピュテーションを低下させることに繋がります。そのため、どのファームもメンターがきちんとフォローするようになってきているので、ぜひ、1人で抱え込まずに相談して欲してみて下さい。

 

以上、コンサルティング会社でのハードワークについて説明してきました。良くも悪くもコンサルティング会社は実力で評価される世界なので、経験が浅いうちは、時間的にも、精神的にもそれまでの環境と違って、慣れずに苦労することは多いかもしれません。でも、苦労した分だけ、必ずあなたの成長に繋がるはずです。

とはいえ、転職して失敗したら怖いな、という人もいるかもしれません。でも、そこに成長の場があるなら、積極的にチャレンジしないと、一生、自分の納得いく道を進むことはできません。コンサルに行って成長したい、自分のキャリアを実りあるものにしたいと思っているから、ここまで読んでいただいているのだと思います。

人生を変えるためには、リスクを取って、チャンレンジする必要があります。高い山であればあるほど、登った時の達成感は大きくなりますし、得られるものも多いです。ぜひ、今、一歩を踏み出してチャレンジして下さい。