逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

【コンサル志望者向け】面接で評価される話し方

コンサルティング会社への転職を考えている方にとって、最も気になることの1つが、面接対策をどのようにしたらよいかということではないでしょうか。私自身も、面接にあたっては、ありきたりと思われない志望動機を考えたり、ケース面接の対策をしました。

ですが、コンサルティング会社に入って、実際に私自身が面接する立場になって分かったことは、入社前に私がやっていた対策はいずれも重要ではなく、全く異なる評価軸で応募者を評価しているということでした。

また、巷のWEBサイトでは、「結論から話す」「簡潔に話す」「ロジカルに、整理して話す」などが重要なポイントとして語られているのを目にしますが、コンサルティング会社の面接官は、そのような表層的なテクニックを見ている訳では決してありません。

この記事を通して、コンサルティング会社の面接ではどのような点を評価しているのか?具体的にどのような対策を取ればよいのかを説明したいと思います。これからコンサルティング会社への転職を考えていらっしゃる方に参考になるのはもちろん、ビジネスマンとして成長したいと考えている方にも有益な情報になると思っています。

 

  

コンサルティング会社が求める人材とは

面接対策をするには、そもそもコンサルティング会社はどのような人材を求めているのか?を理解することから始めたいと思います。
コンサルティング会社の業務とは、「クライアントの経営課題を特定し、解決へのステップを立て、実行する」ことです。
そのため、コンサルタントには、以下の要件が求められます。


①仕事へのコミットメント・イニシアティブ


まず、課題を解決するために、自ら主体的にアクションし、最後までやり遂げる力が求められます。事業会社の仕事では、上司の指示や組織として提携の職務が決まっているケースが往々にしてありますが、コンサルタントの仕事はこうした定型業務とは異なり、プロジェクト型の非定型業務が全てです。

そうした仕事においては、決まった仕事がある訳ではなく、自ら課題を見つけ、解決するためにアクションを取るアクティブさが求められます。その意味において、仕事を最後までやり遂げるコミットメント力や自ら率先して課題を解決するイニシアティブがあることは必須の要件になります。

 

②思考力(論理的思考力、抽象化能力)

ビジネスである以上、説明責任は非常に重要な要素であり、クライアントを納得させられるだけの論理的思考力は必要になります。論理的思考力というと、漠然とし過ぎていますが、要は、“考慮すべき要素を抜け漏れなく整理し、比較検討を踏まえて、結論と理由をなるべくシンプルに説明できる“ということが求められます。

また、抽象化能力も非常に重要な能力の1つです。コンサルタントは必ずしも自分が良く知っている業界だけを仕事にするとは限らず、往々にしてクライアントの方が業務知識は豊富に持っていることが多いです。知識量では劣っていてもバリューを出すためには「一を知って十を知る」思考の深さが重要であり、自分自身の経験や他業種、他クライアントでの事例をインプットに、物事の一般的な法則を大局的に捉え、本質を捉える力が求められます。

例えば、ある業務のプロセスを効率化したい場合、抽象化能力がないと、個々の業務で無駄と思われている業務をなくすなど、日常業務で思いつきやすい課題に目を奪われがちですが、他の事例から一般法則を学んでいれば、業務効率化には
「Cut(無駄なプロセスをなくす)」
「Convert(業務をアウトソーシングする/派遣社員に依頼するなど移管する)」「Combine(1つの業務を専門的に行う部署や人を入れることで効率化する)」「Create(定型業務が効率化されているかチェックする機能を設けるなど効率化のための新たな業務を作る)」
の4つの手段があることが思いつきます。

そして、「業務の無駄をなくす」という選択肢は上記の4つの「Cut」に当たり、他の手段と比べて、費用対効果のある手段なのかを吟味することが可能となります。 

 

③対人能力(コミュニケーション能力、関係構築力)

この能力はコンサルタントに限らず、ビジネスマンなら全員必要な能力ですので、言わずもがなと思います。あえて補足するとすると、コンサルタントはクライアントが発する言葉の真意を探り、真の課題を引き出すことが求められます。クライアント自身も漠然と問題と思っているが、本当の課題に気付いていないケースは多く、傾聴力や適切な問いかけにより、課題を引き出すことが必要になる場面は多いです。その意味でコミュニケーション能力は必須の能力と言えます。

また、関係構築力も同様に重要になります。正論を単にぶつけるだけでなく、クライアントの担当者の置かれている立場や状況を察し、求められている答えを出すことが重要になります。また、相談しやすく、期待に応える成果を出すためにアクションしてくれる人であることも期待されています。

 

面接での評価される話し方は? 

ここまでご覧いただいて、コンサルタントは、単に地頭の良さや論理的思考力だけを求められている訳ではないことはご理解頂けたかと思います。
転職での面接においては、上記で挙げた能力を持っているか?あるいは、現時点では課題はあるが、今後成長の見込みがあるか?などの点を評価することになります。

コンサルティング会社の1つの大きな特徴として、「本人の意思や意気込み」はさほど重視せず、「過去の客観的な行動や実績の事実」に基づいて上記能力があるかを評価することが挙げられます。
具体的な事実が確認できない「積極的にチャレンジしました」「率先して仕事をリードした」といったような意気込みは重視しておらず、「XXXという課題を解決するために、営業部・マーケティング部が一体となって、XXXという施策を行い、結果として●%の売上UPを達成することができました」のように、問題を解決するために、どのようなアクションを取り、その成果が何だったのかを面接官に説明する必要があります。

実際、コンサルティング会社の面接官も面接前に、客観的な行動事実を抑えるよう、ロールプレイング式の研修を受けていますので、面接での受け答えとして、客観的事実を基に説明できれば、他の候補者に比べて差をつけることはできます。

また、ファームによるところもありますが、多くのファームでは志望動機はさほど重視していません。自社製品やサービスへの愛着が重要な事業会社と異なり、コンサルティング会社は、自社が事業を行っている訳ではなく、クライアントのビジネスをサポートする役割であることや動機よりも必要な資質を持っていることがクライアントにサービス提供する上で重要であるからです。

 

これから面接を受けられる方は、ぜひ、上記で挙げた①~③について、具体的な過去のご自身の行動として語れる事実を整理されることをお勧めします。

 

面接対策に不安のある人は転職エージェントを活用

一旦、自身の経験を棚卸し、①~③に回答できるよう整理しても、コンサルティング会社の面接を通過できるか不安という方もいらっしゃるかもしれません。そうした方には、転職エージェントに相談して、添削してもらうのも1つだと思います。

ただし、転職エージェントはなるべくコンサルティング会社に精通した人に依頼すべきだと思います。これまで書いたように、コンサルティング会社の採用基準は他の会社とは異なる独特なものですので、事業会社のノリで志望動機やモチベーション面をアピールしても空振りに終わってしまいます。

コンサルタントとして求められる能力をきちんと理解した上で、その能力を持っている、あるいは今後持てるポテンシャルがあることをアピールする必要がありますので、そのことをきちんと理解しているエージェントの担当者を見つけることが大切です。