逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

出産した後も育児と仕事を両立するための方法

結婚して、出産した後も仕事を続けたいと思っている女性にとって、出産後に働きやすい職場か?育児と仕事を両立させられるか?は重要なポイントになります。
一般的に、子供1人を育てるには、幼稚園~大学まで国公立に通ったとしても、3000万円ほど必要であり、かつ自分自身の老後のお金も準備するとなると、共働きにならざるを得ない家庭が多いです。また、出産後もやりがいのある仕事を持ちたい、社会と繋がりを持っていたいと考える人も多いかと思います。
そうした人にとって、出産後も安心して働ける会社に勤めたいと思うのは当然のことです。

 

ただ、残念ながら、日本の全ての企業が出産後も働きやすい会社とは言い難いのが現状です。育児と仕事を両立しようと思っても、身体がきつく辞めざるを得なかった人や、希望とは異なる部署に配属され、不本意な働き方をしている人は多いです。たとえ、出産後も会社で働けたとしても、自分がやりたい仕事とは異なる部署で働くのは辛いことです。

この記事では、将来的に、育児をしながら仕事を続けたいと思っている人が、満足いくキャリアを築くためにどうすれば良いのかを紹介します。

 

 

出産後も満足いくキャリアを築くために重要なこと

 

出産前に専門性を身につける

結婚、出産、育児というライフイベントを経ても、自分がやりたい仕事で働きたいと思う人にとって、出産前に専門性を身につけることが重要です。
なぜなら、育児をしながら働く中で、新しく専門性を身に着けることは相当大変なだからです。
仮に、保育園や幼稚園などに預けていたとしても、夕方には迎えにいく必要があるので、時短勤務にならざるを得ないですし、子供が体調不良になった時には、迎えに行く必要があります。そうした中で、新たに専門性を身に着けるには、体力的にも、精神的にも厳しく、無理が生じてしまう可能性が高いです。

また、出産前に専門性を身につけておけば、自社に戻るにせよ、転職して他の企業に行くにしても、職場復帰しやすいです。あるいは、営業職で売上記録を作ったなど具体的な実績があれば受け入れられやすくなります。子育てをしながら働くということは、限られた時間の中で成果を挙げることが求められますが、出産前に専門知識・スキルを習得しておけば、そのスキルを活かして成果を挙げることができます。

 
もし、あなたが今、現時点で、特に強みとなる専門知識やスキルがないと自覚しているようでしたら、ぜひ、早めに専門性を身に着けて下さい。
どのスキルを身に着けたら良いかは、あなたのこれまでの経験によりますが、以下のようなスキルは市場のニーズもあり、希少性もあるのでお薦めです。

 

専門性を身に着けられる仕事10選 

<IT系>

1.プログラマー

プログラム言語を用いてプログラムを組み、システムやソフトウェアをつくる仕事です。プログラミング言語を覚えれば、誰でも仕事をできるので、手に職をつけやすい仕事といえます。プログラミングを覚えるのが無理と思った方は、独学でなくて、スクールに通うという手もあります。最近では、質問し放題のスクールもあるので、あなたの理解度に合わせて、プログラムを学ぶことができます。
また、プログラミングの知識があれば、プログラマーでなくても、普段の仕事を自動化できたり、ウェブサービスへの理解が深まるので、本業にもプラスになります。

2.システムエンジニア

ソフトウェア開発において、プログラムの設計書ともいえる仕様書も作ったリ、開発プロジェクトや開発チームの管理などを行う仕事です。
システムエンジニアが作成した仕様書に基づいて、プログラマーが実際にプログラミングをしていきます。特に、最近では、経済産業省が“2025年の壁”として、多くの企業で、これまで使っていたシステムを刷新する必要があると言っており、システム刷新のニーズは高いものの、人材が足りていないのが現状です。

システムエンジニアというと、忙しいというイメージを持つ人もいると思いますが、最近では、会社によりますが、個人のライフスタイルに合わせた仕事を割り振るようになっており、出産後も働ける仕事になっています。

 

3.データサイエンティスト

データサイエンティストは、Harvard Business Reviewで「21世紀で最もセクシーな職業」と称されるほど、最近、注目されている職業です。ウェブサービスやIoTなどが普及し、企業が取得できるデータは飛躍的に増えていますが、データサイエンティストは、そうしたデータを分析し、ビジネスに活用できる知見を引き出す仕事です。

統計学やデータ分析に関する知識、解析するツールなどに習熟する必要がありますが、どの企業においても必要とされておりニーズは高いものの、スキルを持った人が少ないため、今後も安定して働くことができる職業といえます。

また、データ分析の仕事は、スキルさえあれば、場所を選ばずに働くことができる点も強みです。在宅ワークもしやすいので、育児をしている人でも続けやすい仕事といえます。

 

<デザイン系>

4.ウェブデザイン/プロダクトデザイナー/空間デザイナー

ウェブデザイナーは、ウェブサイトのレイアウトやカラー、ロゴ、バナーなどを制作して、ブランドイメージに合ったユーザーに使いやすいサイトを作成します。
プロダクトデザイナーは、食器や文房具などの生活用品や家電製品、家具・インテリア、事務用機器など様々な“モノ”をデザインする仕事です。

空間デザイナーは、店舗、ホテル、美術館、公共施設など、さまざまな場所の空間、ディスプレイ、イベントブースをデザインします。
これら、デザイナー系の職種は、専門的な知識、経験が求められるため、手に職のある仕事として、職場復帰しやすく、また、在宅でも仕事ができるので、育児と両立しやすすい仕事です。

 

5.インテリアコーディネーター

住宅や店舗、オフィス、公共施設などのインテリアを、依頼主からのオーダーに応じてアドバイスする仕事です。
依頼主からのヒアリングをもとに、内装の壁紙や家具、照明、小物などを組み合わせ、依頼主の要望に合った居住空間をアドバイスします。

住宅メーカー、リフォーム会社、家具販売店(デパート、ホームセンター、インテリアショップ)、設計・デザイン事務所などに勤務することが多いです。
インテリアコーディネーターになるには、「インテリアコーディネーター」の資格を取得しておくことがお薦めです。合格率は20%程度ですので、資格取得のために時間を確保する必要があります。

 

<プロジェクトマネジメント>

6.プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーとは、会社におけるプロジェクト全体管理する仕事です。プロジェクトの予算や費用の消化の状況、スケジュール、人員管理、課題・リスク管理など、プロジェクトが円滑に進むために、必要な管理をする仕事になります。

システム開発、商品企画、業務改善など、ありとあらゆるプロジェクトが世の中にはありますが、それらプロジェクトを管理するスキルの需要は高い一方で、プロジェクトを管理できる人は少ないため、出産後に職場復帰しやすい職種といえます。 

 

<金融・企業経営系>

7.ファイナンシャルプランナー

個人の収支や保有資産などから、資産運用やマイホーム購入、相続、保険加入などのアドバイスをする仕事です。ファイナンシャルプランナー事務所、銀行、信用金庫、証券会社、保険会社、投資顧問会社、不動産会社で営業や経理で働くことが多いです。

ファイナンシャルプランナーとして実務で生かすには、「FP技能士」の2級以上に合格することが求められます。2級は30~40%程度の合格率ですので、きちんと勉強すれば、合格することは可能といえます。

ファイナンシャルプランナーは金銭面から顧客のライフプランを支えるだけに、幅広い職場でスキルを生かすことができます。また、知識、経験を生かして、独立して働くことも可能ですので、育児と両立しながら働きたいと思っている人は身に着けておいて損はないスキルです。

 

8.中小企業診断士

中小企業のクライアントに対し経営相談にのったり、課題解決のサポートを行う仕事です。企業に勤めて経営診断を行う人が7割、フリーランスとして企業とコンサルタント契約を結び、経営診断する人が3割程度です。信頼や人脈があれば、独立して働くことが可能な仕事と言えます。

中小企業診断士は、幅広い知識が求められ、合格率は4%と決して簡単に取得できる資格ではありませんが、その分、企業経営に必要な知識が習得でき、会社に勤務するとしても、経営目線で物事を捉えられるメリットがあります。また、独立してコンサルタントとして働くこともできますので、育児と両立しながら、自分のペースで働くことができる職種です。

 

<人事・事務系>

9.社会保険労務士

社会保険に関する書類の作成、申請、給付などの事務手続き、労務に関するコンサルティング、給与計算などを行う仕事です。
社会保険労務士事務所や企業の総務部、人事部に勤めるケースが多いです。企業に勤めた場合、この資格があることで、社会保険労務士事務所に委託するコストを削減できるため重宝されることになります。総務・人事系の部署でキャリアを築くつもりでしたら、社会保険労務士の資格は非常に大きな武器になります。

また、人事・総務系の部署は、営業などと異なり、お客様を相手にしている訳ではないので、時短勤務やフレックスで働きやすいというメリットもあります。

 

10.貿易事務

メーカーや商社などに勤務し、海外から物品を輸入する、あるいは、日本から物品を輸出する際の事務手続きを行う仕事です。
輸入業務は輸入元から送られてきた請求書(インボイス)に基づき、通関手配、関税処理、納入商品の保管の手配をします。

また、輸出業務は通関書類を作成して通関手配をしたり、インボイスを作成して送付するなどの業務を行います。通関書類や船積手配の書類などは通常の事務仕事とは異なり、専門知識や申請が煩雑だったりするため、専門スキルを身に着けられる事務職と言えます。海外とやり取りをするので、語学力が必要となりますが、代替えされにくい希少性のある経験・知識ですので、出産後の職場復帰もしやすいと言えます。

 

以上、専門性を身に着けられる仕事を紹介しました。
もちろん、これ以外にも専門性を身に着けられる仕事はありますので、ご自身の経験や関心に合わせて、どの道でスペシャリストになるか考えてみて下さい。

 

女性の働きやすさが整った企業に勤める

専門性や実績があることに加えて、出産後の女性が働きやすい環境が整っていることも大切です。時短勤務や在宅勤務、急に子供が体調を崩したとしても休暇が取得できるなど、育児をサポートする職場でないと、どれだけ専門スキルがあっても、働き続けることはできません。

ただ、こう書くと、“福利厚生が手厚い会社に勤めれば良い”と思う人もいますが、それは少し違います。というのも、制度はあるものの、実際にはほとんど活用されていなかったり、職場の雰囲気として、育児に理解がない所だと、いくら手厚い制度があっても、全く意味がありません。
出産後に働き続けられるために、現在の勤務先や転職を考えている会社が以下の条件に当てはまっているか?をチェックしてみて下さい。

女性が働きやすい職場かチェックするための7つの条件

<育休取得期間>

1.育休取得期間はどれぐらいか?

⇒1年ぐらいの会社が多いですが、大手企業では3年という所もあります。3年だから良いという訳ではありませんが、幼稚園に入園させるまでは育休期間があるので、保育園を探さなくてもよいというメリットもあります。

 

<子育て女性の活躍度・キャリアパス

2.子育て女性の比率は高いか?
3.管理職における子育て女性の比率は高いか?
4.職場復帰した人のキャリアパス

⇒上記の点を通じて、子育て女性が会社でどれぐらい働いているのか?会社のキャリアパスが用意されているのか?などを知ることができます。
また、職場復帰した人のキャリアパスを確認することで、希望の職種で経験を積めるのかを確認することもできます。日本企業では、出産後は比較的、時間の制約がないバックオフィス系に配属されるケースが多く、もし、あなたがフロント系の職種でキャリアを築きたいのであれば、それが実現できる会社を探した方がよいです。

<勤務体系の柔軟性>

5.フレックス勤務や在宅勤務可能か
6.休暇は取得しやすいか
7.平均残業時間は短いか

⇒子育てでは、「子供が急に熱を出した」「体調が悪いので保育園に迎えに行かないといけない」などはよくあることです。その時に、フレックス勤務や在宅勤務、休暇が取得しやすいといざ何かあった時に対応できます。

また、残業時間が長い激務の職場は子供が小さいうちは、両立させるには、体力、精神的に相当辛いかと思います。できれば、残業時間が適度な会社の方が働きやすいと言えます。

 

専門性を身につけられ、働きやすい会社を探してみよう

実際に、ここで述べたような条件に当てはまる会社がどれぐらいあるか調べるために、転職サイトで調べてみることをお薦めします。
転職サイトでは「あなたが希望する職種」や「女性が活躍しているか」「フレックス勤務」「在宅勤務」「残業時間」などの項目で、求人を検索することができます。
希望する職種で、育児と仕事を両立するためには、どのようなスキルが求められているのか?年収はどれぐらいかを具体的に知ることで、将来のキャリアが具体的にイメージしやすくなります。

また、希望する求人条件を登録すると、新規案件が公開された度に、メールで案内してくれる機能もあります。こうした機能を使うことで、興味ある案件を見過ごすことが少なくなりますし、自分のキャリアについて考える機会にもなります。
加えて、転職のノウハウとして、「年代別の転職のポイント」「転職のタイミング」などのコラムもありますので、今後、どのようなキャリアを築くべきかの参考になる情報が多数掲載されています。

 

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以上、出産後も女性が働き続けられ、目指すキャリアを築く方法を紹介してきました。
育児と仕事を両立できるよう、多くの企業が取り組んでいますが、まだまだ、実際には、現場で働きやすい環境が整っていない会社があるのが現状です。
特に、日本は女性の管理職比率の少なさが指摘されるなど、まだ、十分環境が整っていないと言えます。

でも、1度きりの自分の人生を満足して過ごすためにも、育児も仕事も両立できるよう、専門性を高め、真に働きやすい職場を見つけて頂きたいと思います。

ぜひ、この記事で紹介した内容を参考に、会社やキャリアを選択して下さい。