逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

職場での人間関係に悩んだ時に実践すべき科学的対処法

「職場の人間関係が悪く、憂鬱になる」
「話しかけづらいので、できればコミュニケーションを取りたくない」
「上司や先輩から怒られてばかりで、話しかけるのにも、萎縮してしまう」
「チームメンバーが協力的でなく、一緒に仕事をするとストレスがかかる」
など、仕事をする上で、職場の人間関係の悩みはかなり大きいものです。

 

人間関係が上手くいかないと、仕事をスムーズに進めることができないですし、自分がやるべきことに集中することも難しくなります。
また、それが原因で、寝られない、お腹が痛いなどの身体の不調や、うつ病などの精神的な不安定感に繋がることもあります。
実際、多くの人が退職する理由として、「職場の人間関係が悪い」ことを挙げており、普段、仕事をする上で、人間関係が悪いことは、とても大きなストレスとなります。

一方で、最近は、心理学で、職場の人間関係を改善し、より働きやすい環境を築くための方法が研究が進んでいます。この記事では、そうした知見も踏まえて、具体的に人間関係を改善するためのアクションプランをお伝えしたいと思います。

 

 

そもそも、職場の人間関係が悪くなってしまっているのはなぜか?

職場の人間関係を改善するための方法として、

「笑顔を心掛ける」
「相手の怒りのスイッチを押さないように配慮する」
「相手の立場になって配慮する/物事を考える」
などが解決策としよく言われていますが、正直に言って、これは、人間関係が上手くいっている時に“実践できている行動”であり、上手くいっていない時に、これらを無理やり実践しようと思っても上手くいきません。

苦手な人に、無理やり笑顔をつくろうとしても顔は引きつってしまいますし、相手の怒りを買わないように配慮しても、相手は怒ってしまうものです。(そもそも、怒りを買わないようにみんな努力しているけど、相手は怒ってしまうものです)

大事なことは、「なぜ、自分はあのひとのことを苦手だと思うのか?」をきちんと理解することです。なんとなく、相手のことが嫌い、苦手と思っている人が多くて、それを自分の中で説明できる人は少ないのではないでしょうか。

これまでの心理学などの研究によると、“人が相手のことを苦手、嫌い”と思う時は、「相手が自分のことを好きではない」「相手は自分のことを見下したり、バカにしている」など、相手から自分が尊重されていない時にいただく感情であることが分かっています。

人にとって、最も関心があることは、相手が自分を認めてくれているか?ということであり、認めてくれていることが分かると、安心感が生まれ、なんでも自分のことを話したい、意見を言いたいと心理的にオープンになっていきます。でも、この心理的な安全が担保されていることは職場の人間関係を良くし、生産性を高める上で非常に重要なことがGoogle re:Workの研究でも明らかになっています。

では、このように、“相手が自分を尊重していない“と感じ、相手に苦手意識を持っている時にどうしたら良いのでしょうか?以下で、具体的な対処法をご紹介したいと思います。

 

今の職場での人間関係を改善する対処法

相手からの評価を気にするよりも、自分の中に信念を持つ

こう書いてしまうと、とても抽象的な対処法と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、この対処法は非常に漠然としていますが、心理学の研究でも最も効果的な方法であり、どの職場でも使える対処法であるので、最初に紹介しました。

人は常に、相手から自分がどう見ているのか?を気にして生きています。
職場の人間関係が悪くなるのも、相手が自分を評価していない、好きではないと感じてしまい、自己防御を取ってしまうからです。それに打ち勝つには、相手からの評価ではなくて、“自分の信念に従って行動する“ということです。
自分の中に”これはぜひ、達成しなければならない目標だ“”この課題は解決しなければならない“という信念がわくと、相手がどう思うかがそれほど気にならなくなります。

例えば、”自分の仕事はこれでいいだろうか?上司に怒られないだろうか?“とビクビクした経験はありませんか?この状態は上司という相手の評価を気にしている状態です。

でも、”この事業や仕事を一番よく理解していて、一番思い入れがあるのは自分だ。どうしても、この内容を上司に伝えたい“と思えば、上司にどう評価されるか?が問題ではなく、自分なりにベストを尽くして仕事をしているか?が重要になります。

このように、相手から評価されることが少ない中で、相手の期待に応えようと仕事をすることは、とても苦痛で、しんどいものです。でも、自分の中に大切にすべき信念が生まれれば、相手がどう評価するかをさほど気にしなくて済みます。
もちろん、これは、相手の意見を全く聞かず、自己中心的になることとは違います。むしろ、自分の中に核となる信念があれば、相手の意見をさほど怖いものと思わず、受け止められるようになります。

 

メンターや頼れる存在を見つける

上記で述べたことを一人で実践するのは大変かもしれません。また、最初のうちは、“自分の中に信念を持つ“という感覚が上手くつかめないかもしれません。

その時に、心理学で有効とされているのは、自分が属している職場という集団以外に、別の”準拠集団”を持つということです。準拠集団とは、人の価値観、信念、態度、行動に強い影響を与える集団のことで、具体的には学校、家族、地域、職場、SNS上のコミュニティなどのことを指します。
今の職場での人間関係が苦手と思っている場合、自分が頼れる準拠集団を別に持つことで、自分の中で、職場以外の価値観に基づく、信念を持ちやすくなります。

私がお薦めするのは、「あなたが所属する職場のことをある程度分かっており、自分が信頼できる/憧れる存在の人にメンターとして、定期的に相談に載ってもらう」ことです。
もし、同じ会社にそうした人がいればその人がベストですし、もし、会社にいなければ、信頼できる友人などでもいいです。

また、“定期的”に相談するという点も重要です。相談するタイミングを決めておくことで、現状の人間関係が上手くいっているか?よりよくするために何をしなければいけないのかを棚卸しできますし、次回の相談するタイミングまでに、“XXXをやっておかなければいけない”という期日感が生まれ、具体的に人間関係を改善するためのアクションを取る動機付けにもなります。

 

自分の得意領域で相手にアピールする

とはいえ、苦手意識を持つ相手への態度を急に変えるのはハードルの高いことだと思います。その場合は、まずは、自分が一番得意にしていることでアピールするという手がお薦めです。例えば、データを分析したり、資料作成することが得意なら、積極的にそうした仕事を引き受けて、相手に認められるという成功体験を積むことが大事です。

相手も、自分の得意領域があることを認識すれば、一目置いてくれるので、人間関係を構築するのが楽になります。相手が自分を認めてくれたことが伝われば、以前よりも自分も相手に積極的に関わろうとするので、好循環が生まれやすくなります。

 

相手の良い所を探す

人間関係が悪い時は、つい相手の悪い所に目がいきがちです。“上司は最初の指示は漠然としている癖に、後で色々と文句を言ってくる”“いつも後から口を挟んできて仕事が思い通りに進まない”“話をする時の態度が冷たく、自分の話を聞いてもらえているのか分からない”など、嫌な所ばかりに目が言ってしまいます。

あえて、相手の良いところに目を向けてみることで、相手のことを認め、自分の中にある心理的バリアを下げる効果があります。また、相手の良い所、悪い所を俯瞰的に見れるので、自分に対して冷たい態度を取られても、“〇〇さんはこういう人だ”と割り切りやすくなります。

 

それでも職場の人間関係がしんどい、辛いと感じた時の対処法

色々やってみたけども人間関係が改善しない/辛いと感じ、職場に行くのが気が重いと感じる人は「転職する」のも1つです。
どうしても職場が辛い状態で会社に行って、精神的にも、肉体的にも辛い思いをするのであれば、あなたが壊れてしまわないよう、働きやすい場所に変わってみましょう。

1つの職場で上手くいかなかったからといって、それは決してあなただけの問題ではありません。相手との相性が単に合わなかっただけの場合も多いです。
決して、自分を責めるのではなく、“自分には別の場所で働く方が合っている”と割り切って下さい。そして、外の職場に目を向けることで、改めて、自分はどんな働き方をしたかったのかを思い出して欲しいと思います。

本来なら、“いきいきと、楽しく、同僚と働きたい”“チームで一致団結して、熱く目標を達成したい”“信頼できる上司に認められて、やりがいを持って仕事に取り組みたい”など、あなたが理想とする職場があると思います。「転職活動をする」過程で、色々な求人に目を通すことは、そんな自分の理想を思い出すきっかけになります。
 

もし、あなたが「転職する」となった際は、まずは、転職サイトに登録して、自分が気持ちよく働けそうな企業を探してみるのがお薦めです。

転職サイトでは、従業員の特徴として「平均年齢〇代」「女性/子育てママが活躍」など、自分と同じライフステージの人が多い職場を検索できます。
「服装自由」「フレック勤務OK」などの働き方の自由度や「離職率〇%以下」などの条件で安定して働ける会社を探すこともできます。

また、自分が応募したい企業の条件を登録し、新規求人が公開された際に、いち早くメールで通知してくれる機能もあります。どうしても、職場の人間関係で疲弊している時は、転職サイトにアクセスして、検索するのさえ、面倒と感じる時もありますが、メールで通知してくれれば、良い案件を見逃すこともありません。
また、転職サイト内には、履歴書の書き方や自己診断ツールもありますので、退職理由や志望動機の書き方を参考にする際にも非常に有益です。


なお、転職サイトは求人募集する企業側から掲載費をもらっているので、応募者はこれらのサービスを無料で利用できるのも大きなメリットです。
まずは、働きやすそうな企業として、どんな案件があるのかを見てみるだけでも、外の職場に目を向けられ、落ち込んだ気持ちを高められるかと思います。

next.rikunabi.com

 

仕事は人生において、大半の時間を占めるものであり、職場での人間関係が良好かどうかは、あなたの人生の満足度に大きく影響します。
もし、あなたが今の職場で疲弊するだけで、積極的に、かつ楽しんで仕事に取り組めていないのだとしたら、とてつもなく大きな損をしています。
これまで述べてきたような努力をしてもダメなら、あなたを生かせる場所は他にあると考えて、ぜひ、積極的に色々な企業に目を向けてみて下さい。

初めて転職する方は、“転職が怖い“と感じるかも知れません。
でも、実際に、転職しなくても、どんな企業があるのか?を見てみたり、面接で現場の人に合って確認することで、あなたが生き生きと働けそうか判断できる機会はたくさんあります。

ぜひ、今の職場で行き詰まらないためにも、外の世界に目を向けて、普段から色々な情報を収集して選択肢を増やして頂きたいと思います。