逆境のキャリア術

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ブラック企業から抜け出すための4つの対処法

入社した会社がブラック企業で、辞めたいと悩んでいる人は多いのではないでしょうか。電通過労自殺の事件などもあり、労基署の監視もかなり厳しくなっていますが、それでも、ブラックな企業が残っていることは事実です。

「長い間、休みがない」
「深夜残業は当たり前で、長時間労働である」
「明らかに達成不可能な目標を与えられる」
「体育会気質でノルマを強要させられる」
「仕事上の理不尽な叱責をさせられる」
「会社のイベントに強制参加させられる」
など、ブラック企業に勤めると非常に精神的にも肉体的にも辛い思いをします。


特に、「まじめで、優しい」人は、こうした会社に勤めていても、「会社の社風に馴染めない自分が悪いのではないか」「会社のノルマを達成できない自分が力足らずなのではないか」など、自分を責めてしまう傾向があります。

また、ブラック企業にありがちなこととして、こうした厳しい環境では我慢強く、優しい人のみが残ってしまい、「あの厳しい環境でもお世話になった同僚を裏切りたくない」と言った思いで、会社に踏みとどまる人もいます。
また、人手は足りていない、組織が未熟であるが故に、「仕事の裁量はあり、やりがいはある」という理由で辞めない人もいます。

こうした厳しい環境でも働いてこれている強さや粘り強さはとても素晴らしいですし、とても良く頑張っていると思います。周囲の期待に応えたい、よりよい仕事をしたいという責任感の強さは誇るべきことです。厳しい環境の中で必死で働いたことはあなたの一生モノの経験になっているはずです。

でも、こうした企業に勤めることで、確実にあなたの心身はすり減っています。
体調を崩してしまうリスクがあることはもちろん、仕事への労働時間が長くなりすぎると、インプットする時間が失われ、あなたの知見やスキルを育む上でも長期的にはマイナスです。

この記事では、そんなブラック企業に勤めていて悩んでいる人に、どう対処すればよいのかをお伝えしたいと思います。

 

 

 

ブラック企業から抜け出すための4つの対処法

 1.社内の相談窓口に相談する

まず、これは前提として、会社全体としては問題がないが、所属する部署の上司や先輩の仕打ちに耐えられないという場合の解決策になります。
会社にホットラインなどの相談窓口があれば、匿名で相談にのってもらえますし、その部署だけの問題であれば、そうした問題のある上司に対して、会社としてしかるべき処置(異動など)を取ることは期待できます。

特に、昨今は、電通事件などもあり、労基署の監視が厳しくなってきていることもあり、まともな会社であれば、そうした問題行動のある上司に対してはヒアリングや異動、処分が下されるようになってきています。もし、あなたの会社にホットラインなどの窓口があれば、相談してみて下さい。

 

2.労働基準監督所に相談する

社内自体がブラック企業体質で問題がある場合や、上記のような相談窓口がない場合は、労働基準監督署に相談してみるのも1つです。労働基準監督署とは、労働基準法や労働者保護に関する法律が企業においてきちんと守られているかを監督し、取締検査する政府機関です。不当解雇、給与未払い、労災認定、ハラスメント行為などについて相談することができます。

ただし、労基署に動いてもらうには、明確に違反行為をしていることを示す証拠がないと駄目です。具体的には、最初に入社した時に企業と交わした「雇用契約書」や勤務実態を示すための「勤務記録表」や「給与明細」などを用意しておく必要があります。

また、上司からパワハラを受けている人は、「実際に上司からパワハラを受けた時の会話の録音」を準備した方が良いです。録音するのが難しれば「あなた本人がパワハラの内容を記した手書きのメモ」などを用意しておきましょう。予め、こうした証拠を揃えて、労基署に相談するようにして下さい。

 

3.長期休暇を取る、または会社を辞める

これまでは、今の会社に残る前提での対策でしたが、
「社内で相談しようにもそんな窓口はない」
「労基署に相談するのも、大変そうで心身ともに余裕がない」
という人も多いと思います。

実際、証拠を集めて、労基署に相談できるのは、かなり対応に慣れた人か、まだ、精神的に余裕がある人だと思います。実際、ブラック企業に勤めてしまい、上司からパワハラを受けている時や過酷な労働環境で働いている時は、本当に追い詰められており、「どうにかして今の職場から逃げたい」「できれば会社を休みたい」と思うのが普通です。

そうした人にお伝えしたいのは、「無理して会社に行かず、休暇を取る/会社を辞めて下さい」ということです。既に、大変な環境の中で、あなたは十分に頑張っています。それを、「周りに迷惑をかけてしまう」「会社を休む/辞めることで、家族に心配をさせてしまう」など周囲を気遣う必要はありません。

会社はそうしたあなたの優しさにつけこんで、無理な仕事を押し付けて利用しているのです。耐えられない環境にいるなら、休んだり、辞めてください。有給休暇を取得したり、会社を辞めることはあなたの権利でもあります。

また、「自分が会社を休む/辞めると仕事が回らなくなる」と業務への影響を心配するかと思います。でも、それも心配は無用です。今の自分の仕事の状況と合わせて、自分しかやり方を分かっていない仕事であれば、仕事の手順を書いたメモを作って、同僚に送付して下さい。大抵の仕事は、それで大きな影響が出ることはありません。

これはちょっと、残念な話かもしれませんが、あなたが会社を辞めても、そのために会社が回らなくなることはないのです。もちろん影響は多少ありますが、それだけで会社が駄目になるとかはないので、遠慮なく休んで、あなたを精神的、肉体的に追い詰める人から自由になることが大事です。
会社ではなく、あなた自身を大切にすることを優先して下さい。

会社を辞めることを上司に言い出しにくい人は、退職代行サービスを使って下さい。退職代行サービスとは、あなたの代わりに、会社に辞めることを伝え、退職に関する諸々の手続きを代行してくれるサービスです。
もちろん、退職代行サービスは依頼する費用がかかりますが、5万円程度とそれほど高額ではありませんので、言えずに働き続けて、心身を病む前に、こうしたサービスを使うことも視野に入れて頂きたいと思います。

 

4.転職活動をする

そうして、心身ともにエネルギーを取り戻したら、転職することを考えて下さい。
まずは、転職サイトに登録することで、どのような求人先があるのかを見ることからおすすめします。今のあなたは、働くことに恐怖や絶望感を感じていると思います。

働くことは苦痛であり、嫌々やるものという仕事観が刷り込まれてしまっています。まずは、そうした気持ちを払いのけ、ポジティブな気持ちを取り戻す必要があるのです。
転職サイトにある求人先を見ることで、未来の自分がどうなりたいのか?どんな仕事をしたいのか?という前向きな気持ちを持って頂きたいと思います。

また、希望の求人条件を登録するとメールでおすすめ求人を案内してくれる機能もあります。仕事に対して前向きな気持ちになりにくい今、転職サイトで検索するのも面倒と思う人もいるかと思います。そうした人でも、サイトまでいかなくてもメールで案件をお知らせしてくれるので、エネルギーが低下している状態でも、求人情報が確実に届くのも大きいです。

些細な違いと思われるかと思いますが、“やる気が起きない“という無気力になった状態でも、1本のメールを見るだけで、”こんな求人案件がある”と知れることで、今後のあなたの人生を左右する出会いを見逃さずに済むかもしれません。

加えて、転職サイトには自己分析をできるツールも用意されています。辛い思いをした今、どんな仕事が自分に合っているのか?どんな環境なら自分は生き生きと働けそうか、改めて考えたい人も多いと思います。そうした人は、ぜひ、自己分析ツールを使って、あなたのこれまでの人生経験や性格から、どんな仕事なら前向きに働けそうか?を発見し、転職選びに生かして下さい。

 

next.rikunabi.com

 

次に、転職先の企業を選ぶ際の注意点についてもお伝えします。
非常に不幸なことではあるのですが、ブラック企業に勤めた人が、転職先でも、また、ブラック企業に勤めてしまうことも珍しくありません。この要因は一言で言うなら、企業を選ぶ際の情報収集が足りていないことが原因です。
同じ間違いを2度と繰り返して、辛い思いをしないよう、以下の点は必ず、チェックして下さい。

 

次に、転職先の企業を選ぶ際の注意点についてもお伝えします。
非常に不幸なことではあるのですが、ブラック企業に勤めた人が、転職先でも、また、ブラック企業に勤めてしまうことも珍しくありません。この要因は一言で言うなら、企業を選ぶ際の情報収集が足りていないことが原因です。
同じ間違いを2度と繰り返して、辛い思いをしないよう、以下の点は必ず、チェックして下さい。

  • 残業時間が異常に長くないか?
  • 残業代はきちんと支払われるか?(固定残業代、裁量労働制でないか)
  • 有給消化率はどのぐらいか?
  • 離職率が低いか?平均勤続年数は何年か?
  • 業務内容やアピールが抽象的なことしか書かれていないか?
    (勢いがある、アットホーム、やりがいなど、具体的なエビデンスに基づいていないことしか書かれていないか?)


こうした点を応募要項でチェックしてみて下さい。
ただ、応募要項の文字情報だけでは、企業の都合の良いように書けるので「ブラック企業」か否か見抜けないことも多いです。

その為、一番ベストなのは、同業界に勤めている人に、応募している企業の評判を聞いてみることをお薦めします。同業界であれば、たとえ別会社であっても、その会社の社風や労働環境などは耳に入るので、ブラック企業かどうかは情報を集められます。

そうした知り合いがいない場合は、転職エージェントに相談するという手があります。転職エージェントの担当者は企業に訪問しているので、あなた以上にその会社の実情に詳しく、ブラックか否か教えてくれます。また、大手のエージェントはブラック企業を紹介すると、自社の評判を下げることになるので、そうした企業を排除しているという安心感もあります。

www.r-agent.com

 

エージェントに合うのが面倒という人には、インターネット上の転職口コミサイトであるOpenwork(ネットサイトでその企業に勤務した人が社風、働き方、給与などの実態を載せているサイト)でその会社の評判を見てみるのも1つです。ただ、口コミしている人の信憑性や偏った意見かどうかは判断できないので、あくまで参考程度に見た方が良いと思います。

以上、ブラック企業から抜け出すための対処法を説明してきました。

何度も言いますが、ブラック企業から逃げることに、罪悪感を感じたり、迷惑をかけると思う必要は全くありません。あなたの良さを引き出せないような環境で働いても、成果は出しづらいですし、なにより、あなたが前向きに仕事に取り組むことができません。むしろ、前向きに取り組んで、創意工夫をして働いている人との差は広がるばかりです。決して、あなたが悪い訳でもないのに、会社の問題で、不利益を被ることが合ってはいけないと思います。

今の環境を変えることには誰しも勇気がいります。今の会社に言い出しづらいのも分かります。でも、あなた自身の今後のキャリアのためにも、ぜひ、変わることを恐れずに、あなたにふさわしい場所を見つけ、先の長い仕事人生を豊かなものにして下さい。