逆境のキャリア術

外資系コンサルタントとして勤務している経験から、転職やキャリアについて発信するブログです

出世する人としない人の3つの違い

"会社でイマイチ評価されずフラストレーションを抱えている"
"評価されて昇進したいけれども、いきずまりを感じている"
と悩んでいる人はいらっしゃるかと思います。

どうすれば、社内で評価され、出世できるのか?出世する人・しない人では何が違うのか?
この記事では、よく語られているような出世する人は「ポジティブ」「積極的である」「根回しが上手い」「報連相をする」など一般的によく語られている出世する人の特徴を書くようなことはしません。

なぜなら、それらはすべて表層的なことであり、これを知ったからと言って、明日から読者の行動が変わることはないからです。出世する・しない人の本質的な仕事の仕方の違いやマインドの持ち方を説明することで、読者の方が対処療法ではなく、根本的な解決策を取れるようになることを目指したいと思います。
また、この違いを知ることは、仕事に取り組む上で、ビジネスパーソンが大切にすべきことを知ることにも繋がると思います。

 

 



そもそもなぜ出世する必要があるのか?

この記事を読まれている方は、出世したいと思っている方が多いかもしれませんが、そもそも、なぜ、出世する必要があるのでしょうか?
新入社員へのアンケートでは、“出世したくない”“周囲と楽しく仕事ができれば良い”“自分の好きな仕事をやれれば十分”と考える人が増えているというデータもあります。
出世するというと、“管理するのが仕事になって現場の仕事ができず楽しくなさそう“”権力争いなどの政治的な駆け引きに時間を割いていそう“”責任やプレッシャーばかりが大きく楽しんで仕事をできなさそう“などネガティブなイメージが影響しているのかもしれません。

それでも、私は、出世をするということはビジネスパーソンとして成長する上で、非常に良い影響があると考えています。
具体的には、「出世する過程を通じて自分の仕事の仕方を見つめ直して改善するという癖が身につくこと」、「裁量が広がりより責任を持って仕事をするという経験が個人の成長に繋がること」、「人の上に立って仕事をすることで、より高い視座でビジネスを捉えられるようになること」が大きいと思っています。

出世しない人が見ている風景と出世した人が見ている風景ではその視座の高さに大きな違いがあり、プレッシャーも大きい分、必死で考えることも増え、成長につながります。人の上に立つことを目指さない風潮が強まっていますが、この記事を読まれている方は、出世するとは、自己の成長に繋がる機会であると捉えていただくことが後々のあなたのキャリアにプラスになることは間違いないです。

 

出世する人・出世しない人の違い

では、出世する人としない人の違いは何でしょうか?
長年、コンサルティング会社で働く中で気づいたのは、仕事への取り組む姿勢で3つ大きな違いがあるということです。そして、この3つの要素を持っている人といない人では数年後のビジネスパーソンの成長にとって雲泥の差となって表れてきますので、ぜひ、自分に足りていないという人は意識して頂きたいと思います。

 

①『出世する人』仕事を自分の責任で最後までやりきる / 
『出世しない人』心のどこかで最終的には上司や誰かがやってくれるだろうと思っている

出世する・しないの最初の分岐点は、上司に「この仕事は最後まで自分にやらせて下さい」と言える覚悟を持っているかどうかです。
仕事は進めているものの、どこかで、「最後は上司がこの仕事を引き取ってくれるだろう」という甘えがある人は、本人が思っている以上に、周囲にすぐに見破られてしまいます。

なぜなら、最後まで自分が責任を持って仕事を引き受けている人は、そうでない人に比べて、仕事に対する真剣度が違うので、非常に深く、緻密に考え・行動するようになるからです。

また、出世できない(あるいは出世したくない)人は、共通して、「仕事で大きな責任を負ってプレッシャーがかかる状況を避けたい」と思っている人が非常に多いです。当然ながら、そうした甘えがある人に、上司は重要な仕事を任せることはできませんし、重要な仕事を経験する機会がないので、出世しないというスパイラルに入るケースが非常に多いです。

1点だけ勘違いして頂きたくないのは、「自分の責任で仕事を全うする」とは上司など誰にも相談・報告せず一人で仕事をこなす」ことを意味している訳ではありません。
むしろ、最終的な結果を出すために、他の人の意見や知見を借りる必要がある時は借りる必要があります。要は、最終的に成果を上げられるために、周囲を巻き込みながら、自分で責任を持って仕事をやり遂げることが大事ということです。

②『出世する人』自分よりも1つ上役職の仕事を積極的に果たそうとする / 『出世しない人』自分の今の役職の仕事しか果たそうとしない

そもそも昇進するには、「自分の役職の仕事を問題なくこなせている」ことと、「1つ上の役職の仕事をこなせる、あるいは、最初は上位者の補助が必要かもしれないが、今後こなせる見込みがある」という2つの条件を満たした場合に昇進することになります。

これは考えてみれば当然のことですよね。1つ上の役職でも業務遂行上問題ないという見込みがなければ会社として昇進させられる訳がありません。
また、評価される人材になるためには、常に評価者の期待値を超える必要があり、今の役職の仕事をこなすだけでは期待値は超えられません。1つ上の役職の役割を果たすことで、期待値を超え、評価も非常に高まります。

ところが、多くの人は、現在の自分の役職の職務をこなすことにしか目が向いておらず、1つ上の役職で求められていることが何なのかすら知らないことが多いです。また、上位者の仕事を振られた時に、“これは本当は上司がやるべき仕事なのに・・・”と不満をこぼす人も珍しくありません。

これでは、昇進することも、評価されるにも時間が非常にかかることになります。ぜひ、あなたの1つ上の役職のロールを把握し、それをこなせるようになるために、何をする必要があるのか?という視点で仕事に取り組んでいただきたいと思います。

 

とはいえ、出世する人の行動を実践するのが難しいという人に向けて

ここまで、出世する人、しない人の違いを2つ説明してきました。
とはいいながら、なかなか上述のことを実践するのが難しいのはよくわかります。誰だって、プレッシャーは嫌ですし、自分で責任を取るには嫌です。
また、人は自分ができる仕事のみに取り組んだ方が、安心できるので、敢えて1つ上の役職の仕事をこなす気にならないのも理解できます。

おそらく、ここで「責任を持って最後まで仕事をやり遂げなさい」「1つ上の役職者の仕事を積極的にこなしなさい」というのは簡単ですが、おそらくそれで実践できる人は限られると思います。もし、そんな言葉だけでやれているのなら、もう既に実践していると思います。

大切なことは、「失敗を避けたい」「責任を負いたくない」「自分のできる範囲のことをやりたい」という人間なら誰しも抱く気持ちに打ち勝つほどの、「自分がこの仕事をやり遂げたい」「この仕事で相手に価値あることを届けたい」という強いモチベーションを獲得するにはどうしたら良いか?ということです。
そう悩む人は、ぜひ、出世する人の以下の行動や考え方を真似て頂きたいです。 

 

③『出世する人』自分がなりたい姿や目指す方向性が明確 / 『出世しない人』自分のなりたい姿や目指したい方向性があいまい/考えたことがない

これまでの私自身の経験や過去に部下のキャリア相談に乗っていて確実に言えることがあります。それは、人が成長する原動力は、現状、自分ができていないことに目を向けて改善しようとするよりも、自分がなりたい姿や目指したい姿を置いて、それに向けて努力する人の方が圧倒的達成する確率が高いということです。

どうしても人は自分が今できていないことに目を向けがちです。特に、まじめな人ほど、自分の至っていない点を直してから、なりたい姿を想像し、努力すべきだと思っている人も多くいます。

でも、それは大抵のケースで失敗します。なぜなら、人は放っておくと、常に“安全で”“安心できて”“変化しなくても済む”ことの方が居心地が良いからです。この強力な現状維持を志向する力を阻止するには、逆方向のなりたい姿を思い描くことに振り切る必要があるのです。しかも、それが思いっきり遠くの心の底から願う強い憧れであればあるほど、振り切ることができます。

一番良いのは、今の職場で目指したい人がいれば、その人が実践していることや行動・仕事への向き合い方を真似することです。
でも、もし、今の職場になりたい人がいなければ、面識がない著名人でも構いません。その場合は、その人の働く姿を直に見れる訳ではないので、本や映像などでその人が語っている言葉を繰り返し見て、口に出したり、書くことで胸に刻み、その人自身にあなたが憑依するのが良いです。

私もコンサルタントになりたてのころ、上司からのレビューが非常に厳しく、心が折れかけたことがありました。自分ではコンサルタントは務まらないのではないか?そんな不安が毎日のように脳裏によぎり、自信を持てなくなり、仕事への積極性がなくなってしまった時期がありました。

そんな時に、厳しいレビューをしてきた上司から言われたことで記憶に残っているのは、“今自分ができていないことに目を向けるのは大事だが、自分がなりたいコンサルタント像を強く思い描け”という言葉でした。

その言葉をきかっけに、尊敬する岩瀬大輔さん(元BCGのコンサルタントで、ライフネット生命の創業者)の本やインタビューを全て読み、考え方や振る舞いをなりきる真似をすることで、自分の思い描く理想像を心の中に強く描くことで、目標が生まれ、自分の課題と向き合うことができました。

もし、あなたも、目指す人が見つかったら、その人と比べて自分に足りていないことを書き出し、それを解決するためにどうアクションするのかを上司に宣言しましょう。
上司に宣言することで、自分自身がやらざる負えない状況を強制的に作り出すことで大切です。
自分の胸の内にしまっておくだけでは、必ず、実践しないまま終わってしまいます。かといって、親しい友人とかでもダメです。普段の自分の仕事振りを直接確認することができ、緊張感を感じれる人に対して宣言することが大事です。

そして、定期的に、自分の行動が改善されているか?目標達成に向けて改善すべき点はないかを上司からフィードバックしてもらって下さい。フィードバックされるという緊張感は必ず、目標実現に向けて、あなたの背中を押してくれることは間違いありません。

 

以上、出世する人としない人の違いについて説明してきました。
ここまでお読みいただいた方なら、出世するという過程で必要になる上記3つのことは、ビジネスパーソンとして成長することに繋がることはご理解いただけたのではないでしょうか。

冒頭でも書きましたが、この記事では、出世する人に必要な要素としてよく語られがちな、「積極的である」「上司への報告が上手」「部下をやる気にできる」などについては一切触れませんでした。なぜなら、「なりたい自分をイメージ」し、「1つ上の役職の役割」を「最後まで自分の責任でもってやり遂げようとする」という姿勢が身に付けば、それらは自然とできてくるものだからです。

ぜひ、この記事で挙げた点を意識して、ビジネスパーソンとして成長し、出世することで、責任と裁量を持って、高い視座で仕事をしていただきたいと思います。